【医療経営士コラム】日本医療業界の変革と医師の業務の変容について<第2回>(2015.02.25)

最終更新日:2018.06.21
【医療経営士コラム】日本医療業界の変革と医師の業務の変容について<第2回>(2015.02.25)

第1回では、“医療機関の機能分化・連携の推進”の道標となる「医療介護総合確保推進法」についてお話をしましたが、今回は、現在に至った過程と、今後どのような方法で“医療機関の機能分化”が進められて行くかについてお話しして行きたいと思います。

第1回の記事はこちら

 

◆“医療機関の機能分化”の施策は、どのような過程で現在に至ったか

まず、“医療機関の機能分化”は、以前から何度もで挙がっていたテーマです。1992年の第2次医療法改正で「特定機能病院」及び「療養型病床群」が制度化された事から始まり、第3次改正での地域医療支援病院の位置づけ、2000年の第4次改正での「療養病床」区分の導入など法改正が行われ、それと同時に診療報酬改定の利益誘導により、機能分化を促進させる手法が取られてきました。
しかし、地域の医療事情とは関係なく、診療報酬改定の一方向に雪崩れる事も多く、診療報酬による誘導では限界があるため、昨年の第6次医療法改正に伴う「医療介護総合確保推進法」のスタートに繋がっていると私は考えています。

それでは、今までの方法と今回はどこが違うのでしょうか?

大きな違いは、今までの“こういった方向に進めば診療報酬が高く算定出来ますよ”という誘導方式から、各地域(2次医療圏単位が原則)に必要な医療機能と量をレセプトデータから数量化し、それに必要な医療機能と量を調整しようとしている点です。
つまり、各地域で必要な医療機能と量の目標を設定、現在ある医療機能と量が過剰であれば減らし、足りなければ増やして最適化を図ろうとしている事です。
これを実行する方策が、今からお話する病床機能報告制度であり、今後、各都道府県で策定する地域医療ビジョン及び第7次医療計画になります。

◆各地域の病床機能と量を測定する病床機能報告制度について

2014年10月から、再編の足掛かりとなる「病床機能報告制度」がスタートしました。この制度は一般病床か療養病床を持つ病院と有床診療所すべてが報告対象です。

各医療機関が7月時点で行っている医療機能と6年後に行っていると想定する医療機能について、

①高度急性期機能 ②急性期機能 ③回復期機能 ④慢性期機能

の4つの機能の中から病棟単位ごとに選んで都道府県に報告するものです。
この報告の対象となる施設は、病院が7,420施設、有床診療所が7,998施設ありますが、2014年12月までに7,212(97.2%)の病院と6,885(86.1%)の有床診療所が報告を済ませています。

その報告結果を、現在の病床機能と6年後に自院で想定する病床機能の動向をクロス集計したものが下記の資料です。
このクロス集計を見ると、2014年7月時点の病床機能報告と6年後の機能報告は、ほぼ変わらず同じような構成になっているのがわかります。

病床機能報告結果のクロス集計(厚生労働省資料より)

病床機能報告 6年後への変更動向

 

多少、回復期が増加しているものの、まだ現時点では、制度的に不明瞭な点があるため、方向性を決めていない医療機関が殆どであると思われます。

今後、医療機関がどのように病床機能を構成するかは、近日中に国が定める「地域医療構想の策定ガイドライン」や、それを元に各都道府県が2015年度から翌16年度に掛けて策定する「地域医療ビジョン」を見据えて決めて行くのでないでしょうか。

よって、先生方が勤務される医療機関が、当制度を持って今すぐに機能変更をする事は少ないと思われます。
おそらく、地域医療ビジョンが各都道府県から出される2015年度後半くらいから、各病院での機能変更の動きが活発化するものと思われます。

それでは、そこまで動きがないかというと、そうではなく、現在も病床機能再編の動きは進んでいます。
現在の再編を進める医療機関は、2014年診療改定で示された「地域包括ケア病棟」「在宅復帰」などを基軸として、国が示す「地域医療構想」を考慮し、一般病床の再編(地域包括ケア病棟や10:1への移行等)を進めています。
例えば、地域包括ケア病棟の届け出は2014年6月時点では37施設であったのに対し、2015年1月では1,016施設まで増加しています。
今後も一般病床のみならず、療養病床においても地域包括ケア病棟へ変更する施設はじわじわと増加すると思われます。

次回は、都道府県が策定する「地域医療ビジョン」について、及び「地域医療ビジョン」作成の指針であり、国が策定する「地域医療構想策定ガイドライン」の詳細についてお話をしたいと思います。

第3回記事はこちら

執筆者:鈴木 友紀夫 株式会社メディカル・ステージ取締役 2級医療経営士