【医療経営士コラム】日本医療業界の変革と医師の業務の変容について<第1回>(2015.03.09)

最終更新日:2018.06.21
【医療経営士コラム】日本医療業界の変革と医師の業務の変容について<第1回>(2015.03.09)

はじめに

日本に限らず、高齢化社会を迎えた先進国は、今までの高度な急性期医療の発展の流れから、システムの変革をせざるを得なくなっています。 
日本で言えば、それは医療機関の機能分化であり、「ハコモノ」医療からの転換、そして地域単位での医療・介護及び福祉との連携です。

今後、先生方が働く医療機関では、7:1急性期病院の絞込みと集約、地域包括ケア病棟への移行、かかりつけ医機能の強化など、取り巻く環境はこれから数年をかけて様変わりして行きます。
こういった医療機関の機能変化は、単に病院の機能が変わるだけでなく、同時に、そこで働く先生方に求める医療も変わります。

よって、これからどのようなスケジュールで医療が変容して行くのか、先生方も知っておくべき事柄です。
実際に、昨年から、地域包括ケア病棟への転換に伴う業務内容の変化、急性期病院での在院日数のさらなる短縮に伴う業務量の変化などにより、転職を余儀なくされた先生方もいらっしゃいます。

医療の変遷の道標となる「医療介護総合確保推進法」が2014年6月に制定されましたが、この法律の内容についてを初めに、先生方の働き方に一番影響がある“医療の機能分化”を中心にお話をして行きたいと思います。

1回目である今回は「医療介護総合確保推進法」について、
2回目に医療機関の機能分化推進の原動となる病床機能報告制度と地域医療ビジョンについて、
3回目に地域ビジョンを具現化するための地域医療計画について、
最後の4回目には地域包括ケアシステムについてお話しをして参ります。

第1回 「医療介護総合確保推進法」について

「医療介護総合確保推進法」は、前述した通り、2014年6月に制定されました。
この法律の趣旨は「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律について所要の整備等を行う。」とされています。

つまり、団塊の世代が75歳となる2025年に向けては、今のままの社会保障制度では維持できないので、質を保ちながら効率的に医療を提供する持続性ある体制をつくりましょう。と同時に、地域包括ケアシステムという新たなシステムを通して、医療単独でなく介護との連携を含めた新しい地域体制を構築しましょう。
そして、そのために、医療法、介護保険法などの関係法律の改正を行いますよという事です。

改革後のイメージは、下記参考図の通りです。

医療の改革後の姿

「医療介護総合確保推進法」は、具体的には、主に以下のような内容について規定されております。

①新たな財政支援制度の設立
病床機能分化・連携や在宅医療・介護サービスの充実、医療従事者確保・養成を目的として新たな財政支援制度(基金)が創設されました。
消費税増収分を財源とし、各都道府県に基金を設置し、運用を行うものであり、14年度予算で904億円規模となります。

②医療機関の機能分化・連携の推進
病床機能分化を推進するための制度として、病床機能報告制度と地域医療ビジョンが位置づけられています。

③地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化
高齢者社会のライフセーフティネットとして地域包括ケアシステムを構築する事と、同時に、地域支援事業の充実と介護保険制度を維持するため、高齢者に負担増を求めたり、サービスの給付制限を行う内容も含まれています。

④その他
先生方に関与する分野として以下の内容が盛り込まれています。
・医療事故調査制度の枠組みを初めて法制化
・医療機関の勤務環境の改善

これを基に、今後、“持続可能な社会保障制度の確立”に向けて医療体制の変革が進められて行く事になります。

次回は、“医療機関の機能分化・連携の推進”の原動となる病床機能報告制度と地域医療ビジョンがいつからどのような内容で始まり、その影響はどのようなものであるか、そして、先生方への影響についてお話して参ります。

第2回記事はこちら

執筆者:鈴木 友紀夫 株式会社メディカル・ステージ取締役 2級医療経営士