テレビ番組「カンブリア宮殿」出演の安井佑院長に直撃取材!やまと診療所の「踏み込む在宅医療」とは? <前編>

最終更新日:2017.02.07
テレビ番組「カンブリア宮殿」出演の安井佑院長に直撃取材!やまと診療所の「踏み込む在宅医療」とは? <前編>

団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題を前に今、ターミナルケアの現場では大きな変革が起きようとしている。

その最前線のひとつが、東京大学医学部出身の二人の医師が立ち上げた「やまと診療所」だ。

やまと診療所の拠点は、宮城県登米市と東京都板橋区にひとつずつ。在宅医療の地方型モデルと都市型モデルを確立するためだ。

今回は、板橋区のやまと診療所の院長としてチームで在宅医療に取り組む安井先生に、在宅医療の課題や展望について伺った。

 

医療のインフラを整えて、後期高齢化社会を迎え撃つ

─安井先生の名刺にある「自分で自分らしく死ねる そういう世の中を作る」というフレーズが印象的でした。

日本では、第二次世界大戦後に「病院で死ぬことが当たり前」という風潮が広まりましたが、心の奥底では「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」と思っている方はたくさんいます。自分の人生を締めくくる場所を自ら選べないなんて、おかしな話だと思いませんか。そんな世の中を変えたい、という思いを込めた一言です。

少子高齢化社会が進む今、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」の一環として在宅医療の環境整備を推進しています。

これは、自宅での看取りを実現するにあたって必要不可欠な取り組みですが、2024年に団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となったとき、このままでは大量の「看取り難民」が生まれるでしょう。私たちは、医療のインフラを整備することで、これから迎える未曾有の高齢化社会の問題に対抗しようと考えています。

 

訪問診療において医師が担う仕事は、全体の3割程度

─具体的にどんな取り組みをされているのですか?

特定の医師の力量や熱意だけに依存しない、地域を巻き込んだチームでの在宅医療を目指しています。

2013年にやまと診療所を開設して、まる3年。最近は、看取りに必要なメソッドが明らかになってきたという手応えを感じています。

まず初めに私たちが取り組んだのは、業務の切り分けでした。看取りにあたって医師しかできない業務というのは、意外と限られていて全体の3割ほど。訪問診療で大切なのは、家族に対するサポートやきめ細かなコミュニケーションです。

これを医師ひとりで賄おうとすると、医療の専門知識に加えて調整力やコミュニケーション能力の高さが求められます。そんなスーパードクターは滅多にいません。そこで、医師以外の専門職がこの業務を担えば良いのではないかと考えて、アメリカで医師の助手として働くフィジシャンアシスタント(Physician Assistant)を参考に、PAという診療アシスタント職を作りました。

毎夕、医師とPAが集まってミーティングを実施。患者さんの身体的・心的変化をきめ細かく共有する。

医師をサポートする専門職が、サステナブルな診療体制を可能に

─やまと診療所のPAとは、どんなポジションなのでしょうか?

調整のスペシャリストといえます。訪問診療の複雑なスケジュール調整はもちろんのこと、患者さんや家族の状況・心情をふまえて、ケアマネージャーや訪問看護師と連携したり、病院の医療ソーシャルワーカーに繋いだり、診療をコーディネートするポジションです。

全体の状況から鑑みて医師の判断が適切でないと思った場合には、医師に別の判断を促すこともあり、総合力の求められる職種ですね。在宅医療の司令塔といっても良いかもしれません。PAがいることで医師は診療に専念できるため、効率良く手厚いサポートができるようになりました。

最近はPAの育成に力を注いできた成果が表れてきており、他の医療機関からPA育成に関する問い合わせもよくいただきます。

 

─今後の課題は?

医師の採用です。医師以外のチームメンバーの育成は目処がついてきたのですが、医師の採用はこれから本格的に着手します。

当診療所では、すでに様々なキャリアの医師が活躍していますが、すべての医師に共通していえることは、「在宅診療に対して熱意をもって取り組んでいる」ということです。

立ち上げ後間もなくから一緒に働いている小笠原医師は、当時は初期研修を終えたばかり。つくばから板橋に転居して来てくれたり、経験を積みに救急病院へ行ったり、熱意が原動力となっている若手です。

一方、2016年に参画した柳澤医師は、2,000人以上の癌の患者さんを診てきたベテラン。自身の体力との兼ね合いを見つつ、セカンドキャリアを築く場として在宅医療の最前線であるやまと診療所を選んでくれたことは、ありがたいことです。

今後も、こうした熱意ある医師が、無駄なストレスなく活躍できる環境を整えていきたいと思っています。

 

取材・文 松山あれい

 

後編に続く

現在、「やまと診療所」では、医師を募集しています。