【専門医など】産婦人科医に関する資格あれこれ

最終更新日:2017.09.12
【専門医など】産婦人科医に関する資格あれこれ

医師不足や少子化の影響で、産婦人科の診療所や医師数は年々減少傾向にあり、産科部門の閉鎖も相次いでいます。

一方、ハイリスクな分娩や手術、女性特有の腫瘍の患者は増えているため、産婦人科では豊富な経験と技術を持った医師を必要としています。

今回は、産婦人科の医師が取得できる専門医などの資格を紹介し、それぞれの概要や取得の手順、資格がどのように役立つのか、今後のキャリア形成に向けたステップについてまとめました。

産婦人科専門医取得までの流れ

初めに「産婦人科専門医」の取得の流れを見て行きましょう。日本産科婦人科学会による産婦人科専門医制度は昭和62年(1987年)に発足し、2016年11月15日の時点で13,415名が登録しています。

学会によると、産婦人科専門医は「産婦人科領域における広い知識、錬磨された技能、高い倫理性を備えた産婦人科医師の養成」を目的としています。産婦人科専門医の取得までのプロセスは下記の通りです。

 

STEP1: 初期研修

新医師臨床研修制度導入前に卒業した医師は5年以上の臨床経験、新医師臨床研修制度導入後に卒業した医師は2年間の初期臨床研修が必要になります。

 

STEP2: 専攻医指導施設における研修

学会が定めた専攻医指導施設において、新医師臨床研修制度導入前に卒業した医師は、学会の定めた研修目標に沿って常勤で通算3年以上の産婦人科の臨床研修を受けます。

新医師臨床研修制度導入後に卒業した医師は、専攻医指導施設において常勤で通算3年以上の産婦人科の臨床研修が必要です。

どちらも、産婦人科の基本的診療能力、検査法、治療法や手技、救急対応やチーム医療など、12項目の内容が必須になります。

 

 STEP3: 認定一次審査書類審査

研修を終えた産婦人科の医師は、毎年5月頃に地方委員会で実施される一次審査の申請を行います。一次審査に申請できる資格は下記の通りです。

(1)我が国の医師免許を有する者。

(2)日本産科婦人科学会の会員である者。

(3)平成16年及びそれ以降に医師免許を取得した場合は、新医師臨床研修の後、日本産科婦人科学会指定の専攻医指導施設で、産婦人科専攻医の研修目標に沿って通算3年以上の産婦人科の臨床研修を終了し、少なくとも同期間この法人の会員であった者。また平成15年以前に医師免許を取得した者で、5年以上の臨床経験を有し、そのうち3年以上日本産科婦人科学会指定の専攻医指導施設で産婦人科の臨床研修を行い、かつ少なくとも専攻医指導施設における研修期間中この法人の会員であった者。

引用:日本産科婦人科学会

提出書類は受験票や医師免許、履歴書の他、研修記録や証明書、症例のレポート、論文などがあります。過去5年間で90単位以上の学会や研修会への出席も条件になります。審査料は40,000円で、合否は6月末に発表されます。

 

STEP4: 認定二次審査筆記試験および面接試験

一次審査に通った医師は、毎年7~8月に東京と大阪で中央委員会が実施する二次審査の申請を行います。

筆記試験は120問程度のマークシート方式で、そのうち約4分の1は症例に関わる内容です。「婦人科腫瘍」「生殖・内分泌」「周産期」「女性のヘルスケア」の4分野と、「医療倫理」「医療安全」「医療保険制度」から出題されます。

面接試験は、試験官を患者もしくは家族と想定し、疾患の説明やインフォームド・コンセントを得るロールプレイ方式で行われます。平成13年度(2001年)からは研修手帳を使用しているため、面接当日も忘れずに持参してください。

 

STEP5:産婦人科専門医取得

合否は9月末日までに通知され、産婦人科専門医の認定証は10月1日付で交付されます。また、合格者氏名は学会のHPと機関誌に公表されます。

産婦人科専門医の登録は、登録申請書に登録料の15,000円を添えて産婦人科学会に申請します。産婦人科専門医の資格は5年間有効です。

 

 産婦人科専門医とは別に必要な資格はこれ

産婦人科の医師として働くには、産婦人科専門医以外にも必要な資格がいくつかあります。それぞれの資格の概要を下記にまとめました。

 

 母体保護法指定医

「母体保護法」とは、不妊手術や人工妊娠中絶手術について定められた法律で、日本の憲法のうち「刑法」の第 213条、第 214条、第 215条などに対する例外として存在する法律です。

「母体保護法指定医」は、各都道府県医師会によって医師の人格や技術、医療機関の設備を精査した上で指定され、母体の生命と健康を保護しながら公正な判断を行って処置を実施します。

母体保護法指定医は、全国でおよそ7,000名が登録しています。母体保護法指定医の申請条件は下記の通りです。

・日本産科婦人科学会専門医の資格を有するもの。

・すでに都道府県医師会で母体保護法指定医師の指定を受けていたもの。

・医師免許取得後5年以上経過しており産婦人科の研修を3年以上受けたもので、研修期間中に30例以上の妊娠中絶手術又は、流産手術の実施指導を受けたもの。ただし流産手術は半数以下にとどめるものとする。

引用:母体保護法指定医師の指定基準 及び細則の改正

申請は、各都道府県の医師会長宛に必要書類および審査料(都道府県によって異なる)を納付します。審査のための研修の参加、審査方法、発表や手続きなどは、各都道府県によって異なります。母体保護法指定医の更新は2年ごとに行います。

 

日本産婦人科内視鏡学会技術認定医

内視鏡手術という特殊で高度な技術は産婦人科においても大変重要な要素です。日本産婦人科内視鏡学会技術認定医は機器に対する高度な知識や技術を持った産婦人科の医師に与えられる資格で、国内における産婦人科領域での内視鏡技術の発展および普及、安全な施行を目的としています。

「日本産婦人科内視鏡学会技術認定医」は、2017年7月時点で約350名が登録しています。日本産婦人科内視鏡学会技術認定医に申請できる資格は下記の通りです。

1)継続3年以上本学会会員であること。

注: 3年とは入会後連続して36ヶ月以上の会員履歴をいう。休会期間は会員履歴に含めない。

2)公益社団法人日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医であること。

3)産婦人科専門医取得後に、通算2年以上の産婦人科内視鏡手術の修練を行っていること。腹腔鏡技術認定医を申請しようとするものは、うち、6か月間以上の日本産科婦人科内視鏡学会指定の認定研修施設において、修練を行わなければならない。なお、この条件を満たさない場合は、認定研修施設の技術認定医のもとで、執刀医もしくは助手として25例以上の腹腔鏡下手術に参加すること。

4)術者として以下の規定件数以上の内視鏡手術経験を有する。

① 腹腔鏡下手術で申請するものは100件(ロボット支援下手術は含まない)

② 子宮鏡下手術で申請するものは50件(マイクロ波子宮内膜アブレーション(以下MEA)は含まない)

注:日本内視鏡外科学会への申請は腹腔鏡下手術のみで行う。

5)産婦人科内視鏡手術に関係する学会、研究会、研修会、セミナー等に複数回出席していること。

6)国外、国内内視鏡関連学会、および公益社団法人日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会が認め研修出席証明される都道府県レベル以上での関連学会、または本学会が認定する研究会において、筆頭演者として学会発表5件以上の内視鏡手術に関係する発表があること。この学会発表は技術認定制度委員会の審査により内容が適切であると認められたものでなければならない。また、本法人が開催する学術講演会で、1回以上筆頭演者として学会発表することが必須である。

7)国内外において内視鏡手術に関係する論文を、査読の証明がある医学雑誌に発表していること【論文5題以上(内1題は筆頭著者)】。

引用:日本産科婦人科内視鏡学会 技術認定制度規則

申請は、毎年2月に必要書類と手術の動画、審査料30,000円を日本産婦人科内視鏡学会の技術認定制度委員会に提出します。日本産婦人科内視鏡学会技術認定医の資格は5年ごとに更新します。

 

周産期専門医

「周産期専門医」は、日本周産期・新生児医学会によって認定される周産期専門医(新生児)、周産期専門医(母体・胎児)の2領域があり、どちらも比較的新しい専門医制度です。

新生児の周産期専門医は、平成28年(2016年)9月現在で612名、母体・胎児の周産期専門医は657名が登録されています。

周産期の専門医制度は、国内の妊産婦や胎児、新生児により高い水準の医療を提供し、社会福祉にも貢献する目的で発足されました。

周産期専門医は、周産期における高度な医学の知識および技術、臨床能力を持ち、他の医師にも適切な指示ができることが望まれます。

周産期専門医の申請を行うには、下記の条件が必要になります。

(1) 日本国の医師免許(医籍)を有すること.

(2) 基本学会である日本産科婦人科学会,日本小児科学会のいずれかの専門医であること.

(3) 周産期専門医資格認定試験を受験する時点で3年以上継続して日本周産期・新生児医学会会員であり,会費を完納していること.

(4) 第2項の基本学会専門医資格を取得後,認定施設における3年間の研修を終了し,規則付則に定める臨床経験を持っていること.

(5) 本学会が認める周産期・新生児学に関連した学術論文1編以上を筆頭著者として査読制度のある雑誌に発表していること.

(6) 本学会が認める周産期・新生児学に関連した学会または研究会に所定の回数参加し,かつ筆頭演者として発表を行っていること.

(7) 研修の届出を行い,所定の研修年次報告書を毎年,提出していること.

(8) 本学会の行う周産期専門医資格認定試験に合格していること.

引用:周産期専門医制度規定

まず研修を行うには、研修料として3,000円が必要になります。認定試験は、必要書類と受験料30,000円を添え、毎年5~6月の指定された時期に日本周産期・新生児医学会に申請します。

試験は毎年10月に実施され、110問のマークシート方式による筆記試験と、2症例について試験官が試問を行う口頭試験が行われます。合否は10月末に学会のHPと機関誌に掲載されます。合格した医師は、周産期専門医の登録料20,000円を添えて学会に申請します。周産期専門医の資格は、5年ごとに更新します。

 

婦人科腫瘍専門医

「婦人科腫瘍専門医」は、日本婦人科腫瘍学会が認定する専門医制度で、平成29年(2017年)5月1日現在で811名登録されています。

婦人科腫瘍専門医は、女性特有の腫瘍に対する高い知識や技能を駆使して治療や予防を行い、女性の健康管理・増進に取り組みます。

婦人科腫瘍専門医の認定を申請する条件は、下記の通りです。

(1) 日本国の医師免許証を有すること.

(2) 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医であること.

(3) がん治療認定医であること.

(4) 継続 3 年以上本学会会員であること.

(5) 指定修練施設において所定の修練カリキュラムに従い,直近の 7 年間に通算 3 年以上の修練を行っていること.ただし,修練開始日は日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医の資格を取得した後とする.なお,修練開始届の提出は修練開始日より 6ヶ月以内とするが産婦人科専門医取得年度のみ、その年度の 5 月 1 日に遡ることができる.

(6) 専門医制度規則資格認定施行細則に定める業績を有すること.

引用:日本婦人科腫瘍学会 専門医制度規則

申請は、毎年5月末までに指定された書類と審査料10,000円を添えて日本婦人科腫瘍学会に申し込みます。審査は毎年12月に実施され、選択式の100問の筆記試験と、試験官による質問や議論などの口頭試問が行われます。

合格した医師は、登録料40,000円を日本婦人科腫瘍学会に納入して申請します。婦人科腫瘍専門医は、5年ごとに更新を行います。

 

マンモグラフィ読影認定資格

「マンモグラフィ読影認定資格」は、日本乳がん検診精度管理中央機構などが実施する2日間の講習および試験を受けて取得します。講習を受けるには関連する6学会のいずれかに所属していることが条件ですが、講習会の主催者によって所属する学会は異なります。

講習会の予定表をHPで確認し、申し込みはサイト内または主催者へ直接行います。ただし、マンモグラフィ読影認定資格は大変に人気があり、なかなか申し込みが受理されない状況です。

受験料は、2日間で43,200円と昼食代2,160円が必要です。試験は2日目に実施され、120分で100例の読影を行います。合格した医師は、希望者のみ名前をHP上に掲載することができます。マンモグラフィ読影認定資格は5年ごとの更新が必要です。

 

不妊治療分野で必要な資格はこれ!

産婦人科では不妊治療も大切な分野で、専門の科やクリニックで働く場合は下記の資格が必要になることがあります。

 

生殖医療専門医

「生殖医療専門医」は、幅広い知識と高度な技術、倫理性を兼ね備えた医師を養成し、水準の高い生殖医療を提供すること、福祉に貢献することを目的とした専門医制度です。2017年4月1日現在、生殖医療専門医は649名登録されています。

研修を受けるための資格は下記の通りです。

(1)研修開始申請時において、日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医あるいは日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医である。

(2)研修開始申請時において、研修開始時に入会日から 2 年以上の会員歴を有する日本生殖医学会会員である。

引用:生殖医療専門医制度細則

研修開始の申請は、4~6月に必要書類を揃えて日本生殖医学会に申し込みます。定められた研修やレポート、学会出席などの数々のカリキュラムをこなします。毎年7月頃に、書類による一次審査が行われ、合格者は二次審査の申請を行います。

二次審査料は20,000円で、2017年度は12月に筆記試験と口頭試験が行われます。合格した医師は、登録料として50,000円を納めます。生殖医療専門医は5年ごとに更新を行います。

 

生殖医療コーディネーター

「生殖医療コーディネーター」は、不妊治療における検査やカウンセリング、栄養などの教育や指導、各種支援、生殖医療のチームとして研究に参加する役割があります。2017年4月1日現在、生殖医療コーディネーターは92名登録されています。

 

生殖医療コーディネーターを申請する資格は下記の通りです。

(1)日本の看護師免許を有する者

(2)看護師免許の取得から 5 年以上の実務経験があり、生殖医療に 3 年以上従事している者

(3)この法人の会員であること

(4)公益社団法人日本看護協会が実施する認定看護師制度における不妊症看護あるいは専門看護師制度における母性看護の資格を有する者

(5)生殖医療コーディネーターとして適切な知識、品位と倫理性を備えている者

引用:生殖医療コーディネーター制度細則

申請は6月頭までに必要書類と審査料5,000円を添えて日本生殖医学会に申し込みます。書類による審査が年1回行われ、合格者には通知が届きます。生殖医療コーディネーターの資格は5年ごとに更新します。

 

取るべき資格はこれ!

ここまで、産婦人科の医師が取得できる資格を紹介してきました。今後のスキルアップを視野に入れると、専門医などの資格は必須になります。実際の求人情報を見ても、産婦人科においてはほとんどの場合で専門医などの資格が求められています。また、資格があれば交渉の際も条件を有利に運べる可能性が出てきます。

これらを踏まえて、将来を見据えながら取るべき資格を改めてご紹介しましょう。

 

産婦人科専門医

産婦人科の医師として働く以上、産婦人科専門医は取っておきたい資格です。産婦人科が少ないからこそ、経験を積んだレベルの高い医師が求められます。万が一転職をする際にも、産婦人科専門医の資格があれば選択肢が広がります。

 

母体保護法指定医

産婦人科が減少している中、高いレベルの手術が行える医師が求められています。母体の健康を第一に考え、適切な処置と対応ができる母体保護法指定医は、今後の社会に必須の資格と言えます。実際、体制強化をする医療機関からの募集が数多くあります。

 

マンモグラフィ読影認定資格

乳がんに対する意識が変わりつつあり、今後はマンモグラフィ検診を受ける女性が増えると予想されます。マンモグラフィ読影認定資格があれば非常勤としても働くことができるため、取っておきたい資格の1つです。

 

日本産婦人科内視鏡学会技術認定医

内視鏡手術という特殊な技術を持つ産婦人科の医師は国内でも少ない上、子宮筋腫や内膜症、卵巣嚢腫などの患者の増加、女性の比率が高い高齢化社会を考えると、今後はさらに需要が高まると予想されます。

 

婦人科腫瘍専門医

高齢化に伴い、女性特有のがん患者の増加が予想されるため、高度な知識と技術を持った婦人科腫瘍専門医は必須と言えます。女性の健康に包括して取り組み、治療だけでなく予防の分野でも知識が生かせると考えられます。

 

 以上、産婦人科医として活躍していくために必要な資格をご紹介致しました。参考になりましたでしょうか。

【産婦人科医が取るべき資格】としてご紹介致しましたが、様々な資格があるという事は産婦人科医にも様々な働き方があるという事が言えます。そのため、上記に示した資格は必ず取らなければならない訳ではありません。

あくまで、産婦人科医として活躍するために取得しておいた方が良い資格であり、資格の取得を強制するものではございません。

産婦人科医としての今後のキャリア等に悩みを抱えている方がいましたら、産婦人科医の年収や働き方についてまとめた記事がございますので、是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。

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