医師必見!絶対に知っておくべき医師の賠償責任保険について    

最終更新日:2017.09.05
医師必見!絶対に知っておくべき医師の賠償責任保険について    

 医療現場の第一線で日々の業務に追われながら患者を救命することが医師の仕事。

「医療ミス」という言葉を最近よく耳にしますが、実際訴訟が起こった際は医師あるいは医療機関は患者に対してどのよう補償を行うのでしょうか。

医療機関側ではそのような医療訴訟対策として医師賠償責任保険が用意されていますが、医療機関が用意している医師賠償責任保険とは別に個人で意思賠償責任保険に加入している医師はあまり多くいないようです。

実際に個人の医師賠償責任保険についてゆっくり考えた事がない医師も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

最近の医療訴訟の内容は変化しており、医療機関の賠償責任保険のみでは万が一の補償ができない可能性があります。

今回は、増加する医療訴訟の実態と、医療機関が加入する賠償責任保険と医師個人で加入する賠償責任保険の違い、その他の注意事項など、医師の賠償責任保険について抑えておきたいポイントをまとめました。

増加する医療訴訟と医師の賠償責任保険の関係

医療訴訟の年間件数は平成16年(2004年)に1,110件とピークを迎え、その後は減少してしばらく横ばいの状況でしたが、近年では再び増加傾向にあります。

平成26年(2014年)では860件、平成27年(2015年)の速報値では836件に上っており、800~900件の間で推移しています。

(参考元サイト:医事関係訴訟事件の処理状況及び平均審理時間

 

ここ10年では医療行為にプラスして医師の説明が不十分、すなわちきちんとインフォームドコンセントが行われていなかったとされる判決が増加しています。

訴訟まで行かずに、示談となった件数も加えると膨大な数になるでしょう。

新しい治療法でまだ明確な水準が定まっておらず、医師の知識が十分でない場合の患者に対する状況説明は義務付けられているわけではありません。

しかし最近では、カンファレンス等で積極的に医師同士が話し合う機会を設け、患者や家族が納得のいく説明をするべきだという方向に変わってきています。

 

医療訴訟が増えた原因ってなに?

時代の推移によって、医療訴訟の件数が増加していることが分かりました。

では、実際に医療訴訟が増えた原因とは何なのでしょうか?考えられる増加の原因を挙げてみます。

 

インターネットの普及で患者側の情報源が増えた

テレビやインターネット等の普及から症例に対する治療法など、医師が患者に対してどのように治療するのかといった情報を医師や医療機関以外から簡単に取得することが出来るようになったことが関連するのではないでしょうか。

 

医療訴訟に対する周囲の理解を得やすくなった

医療訴訟に対する認知度が高まり、メディアなどで頻繁に取り上げられていることから医療訴訟の件数が増加したと考えられます。

 

医療技術の発展に伴い、副作用や合併症のリスクが高まった

近年では医療技術の発展により、従来とは違った新しい医療機器や医薬品が急増しています。

そうした最新の治療法は高い効果を期待できますが、もちろんリスクも付いて回ります。

インフォームドコンセントではそういったリスクについても事前に説明した上で同意を得て初めて治療を行いますが、重大な副作用や最悪の場合死亡してしまうなど、実際に起こってしまうと患者のどうしようもない思いから訴訟に発展するケースもあるようです。

 

患者の医師への信頼が揺らいでいる

医療訴訟がメディアに露出するようになって、医師や医療機関に対する信頼が昔よりも薄れているというのは事実でしょう。

だからこそインフォームドコンセントやセカンドオピニオンなど、患者が納得して医療を受けられる体制というのが生まれており、患者と医師の双方が納得して診療を行うスタンスがデフォルトになりつつあります。

 

実際に医療訴訟になったら?

実際に医療訴訟になった場合、審理の期間は平均で2年ほどかかります。訴訟の約半数は和解になりますが、残りの約4割は判決へ進みます。

ここ数年で、医療機関側が敗訴になるケースは2割で、割合としてはそこまで高くはありません。

結果はどうであれ、2年間を裁判に拘束されるのは、医師として心身共に苦しい期間になることは間違いありません。

一方、患者側が医療訴訟に必要な費用は200~300万ほどで、約2年の期間をかけて裁判を行います。

患者側が勝訴する率はおよそ3~4割と言われています。

被告側には精神的な負担もかかるため、多くは訴訟前に医療機関との示談という形で終わらせることも多いようです。

このような訴訟を避けるには、患者側に予め診療内容の説明を徹底することが重要であると言えるでしょう。

万が一訴訟になった場合、実際の審理はカルテを元に進められるため、何をどのように説明したか、それぞれの医療行為について納得を得られたかどうか、誰に(患者もしくは患者の家族になど)納得してもらったかなどを具体的に記録として残しておくことが裁判のポイントになるでしょう。

実際に訴訟が起こった際の流れや裁判を進める上でのポイントなど医療訴訟に対応するためのポイントについて説明してまいりましたが、医療機関ではこういった想定外の医療訴訟に備えて賠償責任保険に加入しています。以下で詳しく説明いたします。

 

医師の賠償責任保険は個人で加入する必要がある?

一般的には医療機関が賠償責任保険に加入しており、万が一の時には補償が効くように対処しています。

医療機関が加入している賠償責任保険は、「病院賠償責任保険」と呼ばれ、病院や診療所の開設者が被保険者になります。病床数や種類、過去の損害の状況などによって保険料は変わります。

現在は、東京海上日動、三井住友海上、損保ジャパン、日本興亜損保、アリコジャパンの5社が保険商品を扱っています。

病院賠償責任保険は、学会や同窓会などの団体を通して加入すると、保険料の割引サービスが利用できます。

一般の契約では、1事故あたりの補償限度額は1億円ですが、保険期間中であれば3億円までの支払いが可能です。

賠償責任保険では、過去の事故の訴訟にも対応するために「保険期間中」を設けています。一般のタイプの保険料は年間5万円台が多く、団体の割引が効く場合は4万円台が中心です。

最大補償の契約では、1事故あたりの補償限度額は2億円で、保険期間中であれば6億円までの支払いが可能です。

保険料は年間6万円台で、割引が効けば5万円台が主流です。

また、「日本医師会医師賠償責任保険」は、病院だけでなく日本医師会の会員であれば個人でも加入でき、開業医であれば自動的に加入するシステムになっています。

1事故あたりの補償限度額は1億円で、保険料は医師会費から支払われますが、金額は会員の分類によって異なります。

医師会の賠償責任保険は、医師が退会したり死亡したりした場合、「特例事項」といって保険の期間を10年後まで延長することもできます。

さらに、最近では勤務医を対象にした「勤務医賠償責任保険」も注目されています。

かつての医療事故は病院が加入している保険でカバーできましたが、近年では医療訴訟の件数が増加し賠償額も増えたために、病院側の保険だけでは賄いきれなくなってきました。

特に病院の経営が悪化している状況下では、原告側が十分な賠償金が得られずに医師個人を訴えるケースも見られます。

次の項目では、個人の賠償責任保険について説明します。

 

医療機関の保険とは別に個人で賠償責任保険に加入する医師も

ご紹介したように、昔は医療訴訟が起きた際は医療機関が用意している賠償責任保険で補償できていましたが、近年では医療訴訟の件数が増えた上に、賠償金額の増加により、医療機関の賠償責任保険のみでは賠償金が足りないケースも出てきています。

加えて、最近では医療の現状に伴って賠償責任保険の内容も変化しており、保険の契約内容によっては医師個人の責任まで賄えないという場合もあります。

経営不振の医療機関で訴訟が起きた際には、支払い能力がないため医師個人も訴訟の対象になることがあります。

最近では、実際に医療訴訟で医師個人が被告になるケースが増加しています。

さらに、該当する医療行為に関連した看護師やコメディカル、研修医なども指名され、連帯して訴訟されるケースもあるようです。

こういった背景から医療機関が用意する賠償責任保険では適用されない、支払い額が足りないなどのケースが多く出てきており、そういったケースを防ぐために医療機関が用意賠償責任保険とは別に個人で意思賠償責任保険に加入する医師が増えています。

個人の医師賠償責任保険には、どうしても医療ミスに最も深く関わってしまう外科医が加入する傾向が強いです。

しかし、医師全体で見ると、個人で賠償責任保険に加入している医師は約半数しかいないというデータがあります。

特に40代以上の医師は、賠償責任について従来の考え方を持っていることが多いため、未加入のままで勤務を続けているのが現状です。

ここで、医師個人が加入できる賠償責任保険について見てみましょう。

多くの賠償責任保険では、非常勤やアルバイトの医師でも加入でき、標榜科目以外で診療を行った際にも補償されます。

1事故あたりの補償額が2億円(保険期間中は6億円)のタイプであれば安心ですが、保険会社によっては3千万円からのコースもあります。

一般的な保険料は1億円の補償額で5万円台、2億円のタイプで6万円台が主流です。

各保険会社で商品が異なるため、詳細はそれぞれの会社に問い合わせてみてください。

おすすめの賠償責任保険を紹介している学会もあるので、HPなどを参考にするのも良いでしょう。

 

医師転職の際は賠償責任保険の内容にも注意しよう

医師の賠償責任保険について、最近の訴訟内容の傾向も含めて紹介してきました。

一般的には医療機関が賠償責任保険に加入していますが、今後は医師個人の賠償責任保険についても調べておく必要があるでしょう。

特に、転職や転勤などで勤務先医療機関が変わったり、アルバイトで新しい職場が増えたりした時には、万が一に備えて勤務先の賠償責任保険の加入状況について調べる必要があります。

日本医師会医療賠償責任保険に加入している医師は、転職後も補償は変わりませんが、訴訟の内容によっては賠償金額のすべてを賄えないという現実も頭に入れておいてください。

また、勤務医から開業医へと立場が変わる場合も、医師賠償責任保険の見直しが必要です。

それぞれの状況に合った医師賠償責任保険を選び、不測の事態に備えておくことが大切です。

医療訴訟について不安を抱えている方、転職活動中の場合には、専任の転職エージェントに賠償責任保険について尋ねてみると、安心して勤務出来る職場等、今後のキャリアプランを決定することができます。

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