常勤の人工透析科医が転職する際に知っておくべき事

最終更新日:2017.09.06
常勤の人工透析科医が転職する際に知っておくべき事

人工透析科医のキャリアパス・転職動向

まず、人工透析科医はどのような疾患を診療対象とするのでしょうか。

2014年の透析患者の統計調査から透析を導入する原因となった疾患第一位は糖尿病性腎症、続いて第二位は慢性糸球体腎炎、第3位が腎硬化症、第4位が原因不明となっており、1位の糖尿病性賢症は1998年から患者数が増加し続けていました。しかし、近年では患者数は横ばい状態となっています。

第2位の慢性糸球体腎炎は糖尿病性賢症に比べて患者数は少なく、透析を導入するほどの症状がある患者は少ないようです。

これは学校での尿検査の普及や治療の進歩などが影響していると考えられます。

第3位の腎硬化症は高血圧による動脈硬化が原因となることが多いため、高齢者がこの疾患を抱えることが多いようです。

実際に外来にかかってくる慢性腎臓病(CKD)の患者さんは高血圧、動脈硬化が原因となっている場合もあり、それに加齢が加わることで腎機能の低下がみられて、透析導入に至ってしまうことがあると言われています。

さらに全国的な高齢者の増加の影響により、腎硬化症は近年で割合が増加しており、人工透析に関わる深刻な問題と言えるでしょう。

日本透析医学会の2014年の発表では、透析患者は32万448人と言われており、前年(2013年)よりも6010人増加していることがわかります。

これらのことから人工透析の需要は着実に増加しており、それに伴って人工透析医は各医療機関で必要とされています。

それでは、医療機関はどのような人工透析医を必要としているのでしょうか。

透析を行う上で看護師や技師等の医療スタッフのサポートは不可欠であると言えるでしょう。

そのため、きちんと医療スタッフと連携して医療行為を行えるかどうかを医療機関側が求めることが多く、他診療科目と同様に人工透析科医にもコミュニケーション能力が必要であると言えるでしょう。

人工透析科の専門医としては日本透析医学会が認定している専門医制度があります。

受験資格は日本透析医学会HPによると下記のように指定されています。

1) 日本国の医師免許証を有し,医師としての人格および識見を備えていること.

2) 日本内科学会および日本外科学会において定められたいずれかの認定医または,専門医,日本泌尿器科学会,日本小児科学会および日本救急医学会において定められたいずれかの専門医,もしくは日本麻酔科学会において定められた指導医の資格を有し臨床経験5 年以上を有していること.なお,初期研修医1年目は臨床経験に含めない.

3) 本学会の専門医制度委員会の規定によって編成された研修カリキュラムに従い,学会認定施設において1年以上または教育関連施設において3年以上を含む通算3年以上を主として透析療法に関する臨床研修を行いかつ業績のあること.なお、勤務日数は、原則週4日以上を研修1年と認定する.ただし、週3日の勤務は、研修1年の4分の3に相当し、週2日の勤務は、研修1年の4分の2に相当する. 

4)本学会年次学術集会出席ならびに業績について30 単位を満たしていること.

5) 専門医認定の試験および審査において適格と判定され,専門医として登録を完了した者であること.

6) 申請時において,本学会の会員歴3年以上であること.

(引用:日本透析医学会

透析の専門医を持つと透析施設があるほとんどの医療機関での勤務が可能となります。

求人にもよりますが、中には経験豊富であれば専門医資格は問いませんというような求人もあるようです。

しかし、求人募集の幅を広げるためにも、透析医師として勤務するのであれば専門医の資格を取ることが望ましいと言えます。

人工透析科と標榜されている施設や地域もあれば「腎臓内科」が人工透析も兼ねて行っている施設もある事かと思います。

人工透析は、糖尿病性腎症などの患者が生きる上で必要になる治療のため、透析が必要となった場合には週3回1日4時間は透析を行う必要があります。

つまり透析が必要な患者は定期的に透析施設に来院します。

そのため、一定数患者を獲得出来れば安定して透析施設を経済的に運営することができますし、来院患者は事前に決定しているのため、スケジュールの見通しが立てやすいと言えるでしょう。

また他診療科の医師に比べて業務の負担が少ないことが特徴のようです。

しかし、医療機関によって異なるため、転職を考える場合には確認をする必要があるでしょう。

ちなみに、これから人工透析関連の専門医を取得したいと考えている場合に状況によっては指導体制を整えて迎え入れてくれる医療機関もあります。

透析センターを新規に開業する医療機関も見られ、比較的人工透析の求人数は多い傾向にあるようです。

中には、病院で腎臓内科が透析も兼ねている場合もあります。

腎臓内科医は患者が透析に至る前に治療することを目標とした診療を行うため、透析導入前の患者を診ることがほとんどです。

その場合、急性期病院では腎臓内科外来、外来透析、病棟管理、血液透析、腹膜透析などを全て請け負う可能性があります。

また、総合病院の場合は循環器内科、糖尿病、泌尿器科、膠原病リウマチ科との横の連携が大切になる側面も出てきます。

透析クリニックの場合、当直はありませんが、施設により待遇や勤務体系も異なるので事前によく確認しておく必要があるでしょう。

 

人工透析科医の平均年収は?

腎臓内科に所属して透析業務を行う場合は、年収1,400万円〜1,500万円ほどが相場になります。

人工透析専門病院やクリニックにて透析を行う場合は、透析管理と病棟管理、外来も含んだ上で年収1,800万円〜2,500万円ほどとされています。

 

これからの人工透析科医に求められるスキル

糖尿病性腎症や膠原病など他の疾患が原因で透析が最終的に必要となる場合が増加しているため、糖尿病・膠原病・循環器領域の知識が武器になると考えられます。

これらの診療科からその知識・スキルを武器に透析施設に転職する医師も多く見られます。

また、シャント造設術などの外科的手法ができると現場でより歓迎されると考えられます。シャントトラブルや血管疾患への知識があり、対応が可能であると人工透析科での転職を有利に進められるのではないでしょうか。

 

実際の人工透析科の求人を見てみる

それでは、転職に向けて実際の求人情報を分析してみましょう。

多くは人工透析科の専門医を募集しており、シャント作成スキルを有していることを条件にしている求人もあります。

穿刺はほとんどの医療機関で看護師や技師が担当しています。

以下に人工透析科の求人の特徴をいくつか示します。

 

医療機関の種類は急性期~慢性期まで様々

20~40床といった規模の求人が多い傾向があるようです。

 

外来診療は週1~3コマ程度

医療機関によっては希望者のみとする場合や、人工透析科だけでなく一般内科や泌尿器科の外来診療をお願いしている場合があるようです。

中には救急の対応も求めている医療機関もあるため、人工透析科で転職する際は求人内容をきちんと確認すべきでしょう。

 

病棟管理はほとんどが主治医制

医師1人あたり10名ほどの患者の全身管理を行っています。

「腎臓内科の患者中心」という表現をしている医療機関もあり、患者の年齢層はいずれも高めの傾向があります。

 

透析管理は病院の規模によって異なり、10~40床台が多い

「週3日2クール」などと曜日で担当が決まっています。医療機関によっては、週2日の夜間透析を担当する場合もあります。

 

当直の有無

月に1~4回の範囲で明記されています。当直時の人数や待遇を詳しく公開している医療機関もあるので転職の際は事前に確認する必要があります。

当直なしの勤務が可能なケースや、早番・遅番の対応がある求人も多数掲載されています。

 

次に人工透析科の募集の背景のいくつかを以下に示します。

 

欠員募集

医療機関側が常勤の医師の負担軽減を考慮していることが伺えます。

また、人工透析科の専門医を求めている医療機関では、専門性をアピールして安定した医療を提供するという姿勢が受け取れます。

 

体制強化による募集

新規オープンや増床予定という医療機関も多く、転職後は新施設の綺麗な環境で気持ちよく働ける可能性もあります。

 

在宅医療の強化

高齢化社会に伴い、老人保健施設など他の施設を運営している医療機関や、在宅医療に力を注ぐ方針の医療機関もあります。

地域の中核として高齢者のケアを行う動きも活発になってきているため、転職の際は自分に合った人工透析科を選ぶことをおすすめします。

 

近年では、勤務医の働きやすさを重視している医療機関も増えています。

保育施設の完備など子育て中の女性医師を歓迎する病院、先にご紹介した当直なしや早番・遅番の勤務条件など、医療機関側の配慮が読み取れる求人も多数見られます。

次の項目では、QOLを重視した働き方や、実際の転職について見てみましょう。

 

QOLを重視するならこんな求人がおすすめ

Dr.転職なびでは、子育て中の女性医師や、年齢を重ねQOLを重視した生き方を選ぶ医師に向けた人工透析科医の求人も多数扱っています。

当直やオンコールがない転職先を選べば、オンオフの区切りがついて退社後はゆったり過ごせます。

また、朝の出勤がゆっくりできる職場に転職できれば、子供を預けてから仕事に専念することが可能です。

人工透析科でも、土日の休みや週数日の勤務を可能としている職場もあります。24時間体制の保育施設の充実など、子育て支援に力を入れている病院も転職先として魅力です。

実際の転職に向けた人工透析科の求人を紹介しましょう。

年収UPを目指すならこんな求人がおすすめ

もちろん、高年収が魅力の人工透析科の求人をございます。

一般に年収が高く設定されているのは、院長や指導医クラスの募集、医師不足の地域、増床などの体制強化に力を入れる医療機関で多く見られます。

勤務年数ごとの年俸のモデルを紹介している求人もあるため、将来を見据えた転職も可能です。

また、これから人工透析科の専門医の資格を得て、将来的に年収UPを見込んだ転職も視野に入れてみてください。

下記のような「専門医取得施設」として募集をしている医療機関もあります。

人工透析を行う医師の場合、施設により働き方が大きく変わってきます。

当直の有無、外来のコマ数、透析ベッド数、挙げればキリがないでしょう。

求人情報サイトには細かい条件などが詳細情報として書かれているため、自分にあった働き方を探すことができます。

また、医師の転職支援コンサルタントから情報を得ることもできるため、自分の希望を伝えてそれにあった求人を探すことも可能です。自分が使いやすい求人情報サイトを確認してみましょう。