常勤の訪問診療医が転職する際に知っておくべき事

最終更新日:2017.09.06
常勤の訪問診療医が転職する際に知っておくべき事

厚生労働省の資料「在宅医療の最近の動向」によると、訪問診療が必要な人数は2025年には29万人に上るとされています。

さらに、20歳以上を対象にしたアンケートでは6割以上が自宅療養を希望と回答しており、今後も訪問診療のニーズは高まると言えます。

ここでは、転職する際に知っておきたい訪問診療医の具体的な仕事内容とキャリアアップ、年収や求められるスキル、転職のチェックポイントなどをまとめました。 

訪問診療医のキャリアパス・転職動向

高齢者の在宅療養支援をする診療所や病院の数は、ここ数年で急上昇しています。

厚生労働省の調査によると平成22年(2010年)に届出されている診療所の数は全国で12,487箇所、平成26年(2014年)では14,662箇所という結果が出ています。

ここで訪問診療について確認しておきましょう。訪問診療とは、医師や看護師が2週間に1度くらいのペースで定期的に患者の元を訪問し、診療や健康管理を行う仕事です。

訪問診療のタイプには、大きく分けて2通りあります。

 

1)施設を中心に訪問

定期的に老人保健施設などを訪問して、入居者の診療を行います。老人施設に診療所が併設されている場合もあります。

移動の時間が少なくて済み、一度に何件も回れるため効率が良い点が特徴です。

しかし、事務的に作業を行う傾向があるので患者との接点が少なく、充足感が得られないこともあります。

 

2)個人宅を中心に訪問

定期的に個人宅に出向いて、診療や健康管理を行います。

1日に訪問できる数は10件前後と限られますが、患者一人ひとりと向き合った診療ができるため、地域との繋がりが強くやりがいを感じられます。

 

地域の開業医やクリニックが外来と並行して訪問診療を行っている場合は、さらに様々な症例を経験することができます。

職場の形態としては、医療法人や社会福祉法人などが経営する機関と、在宅診療と外来を並行する病院やクリニックがあります。

実際に転職した医師で、転職前に訪問診療医を経験しているケースは2割ほどにしかならず、未経験の医師が8割くらいを占めています。

訪問診療医の研修期間の目安は、短くて1ヶ月ほど、長い場合は半年ほどとなっています。現場でその都度体得していくため、診療する科や技術の心配はいりません。

ほとんどの職場で毎月1回のカンファレンスを実施し、仕事の進め方や状況などを報告、アドバイスなどを行って診療内容の均一化を図っています。

転職後のキャリアアップとしては「家庭医療専門医」「日本在宅医学会専門医」「老年病専門医」などの資格が目指せます。

老人施設を中心に回る診療所では院長職の求人もあるため、転職を機に将来を見据えて足元を固めるのも良いでしょう。

訪問診療医の働き方は職場によって異なり、業務全般を常勤医が行う場合と、日勤は常勤医で夜間は非常勤医が担当する場合があります。

休日は交代で取れますが、オンコールの負担があり、24時間365日体制であることは頭に入れておきましょう。

また、週5日訪問診療を行う場合と、週の4日を訪問診療にして1日を外来や往診という場合では働き方が異なるので、転職する際は確認が必要です。

今後の政策では、病床を削減して高齢者を他の施設に誘導する方向性がさらに強くなると予想されるため、訪問診療の分野は益々ニーズが高まると言えるでしょう。

 

訪問診療医の平均年収は?

それでは気になる訪問診療医の年収を見てみましょう。

募集されている求人を確認したところ、1,500万以上の給与を設定している医療機関が多く、場合によっては2,000万円以上の案件もあります。

全体的に見ると、訪問診療医の年収は同年代の医師よりも高めの傾向があります。

平成26年(2014年)の診療報酬改定により評価の基準が変わった影響で、やや相場が低くなっています。

年収だけでなく業務内容をきちんと確認することも必要です。特に2,000万円以上の高額な求人の場合は、背景をしっかり確認しておきましょう。

 

これからの訪問診療医に求められるスキル

訪問診療は経験のない医師にも入りやすい領域です。

医師の平均年齢は40代~50代ですが、最近では若い医師が活躍できるよう配慮している機関もあります。

訪問診療医は、診察や検査、投薬から介護の質など複数の事例に幅広く精通していなければなりません。

転倒した場合の外科的な処置や、認知症の患者に対する対応、老人内科や生活習慣病の知識、がんの終末期の場合は緩和ケアのスキルも必要です。

プライマリケアができる総合内科医も重宝されます。リハビリのニーズが高い所では理学療法士が同行するケースもあります。

訪問診療医は心電図やポータブルエコー、胃瘻交換用内視鏡、人工呼吸器の扱いも必須で、IVH(中心静脈栄養)や在宅人工透析の知識なども不可欠です。

その他、診療を終えた後は記録を共有するために、その医療機関が導入している連携システムを使用するなど事務的な作業も必須です。

移動の際に自分で運転する場合は、普通自動車運転免許も必要です。訪問診療はチーム体制が大切な仕事なので、連携を意識しながらの業務になります。

さらに、訪問診療医は高齢者と接するために人柄も重視されます。患者やその家族、ケアマネージャーなどから信頼され高い評価を得ることは診療を円滑に進めるためには、とても重要です。

転職の際は内科系出身でも外科系出身でも応募は可能で、訪問診療医を目指す際の抱負や熱意、学ぶ姿勢が問われます。

これまでの経験や得意分野をアピールし、医療機関側のニーズと合えば有利に進められるでしょう。

 

訪問診療医の転職におけるオススメ求人

訪問診療医として実際に転職する際、チェックしておきたいポイントを具体的に見て行きましょう。

先に24時間365日体制と書きましたが、基本的には業務は交代制できちんと休日は確保されているので家族との時間も過ごせます。

ただし、当直になった場合の夜間の電話対応は1日平均4~5件ほどで、実際に往診が必要なケースは月に1~2件という数値が出ています。

急変時の対応を予め患者家族に伝えておくことで、出動を避けられる場合もあります。

その他、転職の際に確認しておきたい点は

  • 訪問先の様子や症例
  • 訪問ルートや担当患者数
  • 患者のADL(Activities of Daily Living:生活に必要な行動ができるかどうかの指標)
  • 訪問時の体制(看護師や運転手の有無)
  • 急変時の搬送先と地域の連携
  • 電子カルテやシステムの設備
  • オンコールの数や状況、当番
  • 人工呼吸器、IVH 、PEG(胃ろう)などの扱い
  • 褥瘡の管理やペインコントロール
  • 現職の医師について
  • 地域における立ち位置
  • 経営母体はどこか 

などがあります。

しかし、このような細かい内容や直接聞きにくい質問などを自分で調べるのには困難を極めます。

医師向けの転職サイトや紹介会社を利用すれば、エージェントが様々な不安や疑問に答えてくれるだけでなく、有利な情報を受けることができます。

Dr.転職なび」では、全国11箇所から医療経営士の資格を持ったエージェントがサポートし、円滑な転職のお手伝いをいたします。入職後のフォローもあるため、安心して転職を進められます。

熱意を持って在宅医療に取り組むには覚悟が必要ですが、大変にやりがいのある仕事です。

実際に訪問診療で働く訪問診療医からは、「ぜひ診療の現場を見てもらい、訪問診療という独自のやり方や考え方を体で感じて欲しい」という声も聞かれます。

コミュニケーションで培った信頼や実績は、通常の勤務では得られない充足感があります。

高齢者の生活を重視し支えていく訪問診療医は、今後の日本に欠かせない仕事の1つであることは間違いありません。

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