結局「勤務医」と「開業医」どちらが良いの? 勤務医・開業医のメリット・デメリットをまとめてみた

最終更新日:2017.09.12
結局「勤務医」と「開業医」どちらが良いの? 勤務医・開業医のメリット・デメリットをまとめてみた

「開業医」と「勤務医」の違いと医師数の割合 

同じ医師であっても、開業医と勤務医では、全く働き方が変わってきます。

医師は医師免許を取得したのちに、初期研修を経てから勤務医になりますので、医師としてのスタートは主に勤務医になります。

開業医の場合のメリットとしては 

  • 休診日を自分が院長であれば自分の都合で設定できる
  • プライベートの時間がとりやすい
  • 学会にも逆に以前より参加しやすい
  • 自分の裁量で仕事ができる
  • 地域医療に貢献できる実感が湧く

このような点がメリットとしてあげられると考えられます。

逆にデメリットとしては、

  • 体調不良であっても代診を頼めない
  • 訴訟が起こった場合には全責任は院長である自分にかかる
  • 雇用主としての責任感が必要である
  • 資金調達や資金繰り等の経済観念が必要である
  • 周囲の医療機関との関係づくりが必要である

このような点がデメリットとしてあげられると考えられます。

開業医と勤務医の割合としては均衡していますが、少し開業医の方が多く、開業医が52%程度で、勤務医が42%程度と言われています。

平成18年の段階では6割が勤務医と言われていましたので、割合が近年逆転したことになります。

 

「開業医」と「勤務医」の収入比較

厚生労働省が発表している、「勤務医の給料と開業医の収入差額について」の資料を参照しますと、病院勤務医の平均年収が1,479万円(月123万円)と書かれています。

これが、医療法人を開業した場合、平均年収が2,530万円(月211万円)となり、病院勤務医の約1.7倍の年収になります。

これを個人ベースで考えても、収支差額で2,458万円(月205万円)となり、やはり病院勤務医の約1.7倍の年収となります。

また、開業医の場合は、事業収入として経費化できるものが多くなります。例えば、車両費・福利厚生費・交際費などです。

 

診療科によって開業医の割合は大きく変化する

一口に開業と言っても、開業資金などの準備や想定患者数などの関係で、開業しやすい診療科としにくい診療科があります。

厚生労働省による平成26年(2014年)の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」の調査を見てみると、勤務医よりも開業医の割合が多い診療科は内科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、心療内科、婦人科であることが分かります。

内科は、地域に密着し、プライマリケアを求める患者やかかりつけで通院する患者など、ある程度集患がうまくいけば安定した患者数が見込めることから、最も開業医が多い診療科でしょう。

ただし、競合相手も多いため、他のクリニックとの違いを前面に打ち出し、独自の優位性をアピールする必要もあります。

それに伴って医療設備も異なり、開業資金も変動します。高齢者増加の影響から建物内のバリアフリーや導線にも気を使う必要があり、高齢者に配慮した設備もアピールポイントになるでしょう。

 

近年、開業医が増加しているのは眼科で、高齢者の多い地域では、白内障などの日帰り手術を実施するクリニックも増えており、高齢化社会に伴って需要が確実に高まっています。

耳鼻咽喉科も地域に密着した診療科の1つで、子供から高齢者まで幅広い患者層が期待できます。

近年、皮膚科では保険が適用できる美容関連の診療を行う開業医が増えています。皮膚科も患者層が広いので、集患の施策が非常に重要であると言えるでしょう。

保険適用の美容診療は近年人気ではありますが、美容系の機器を導入しなければ、資金は比較的少なめでも開業することが出来ます。

心療内科は最も資金が少なくて済む診療科です。心療内科での開業はその特性上、落ち着いた環境で話しやすい雰囲気を作る配慮が必要でしょう。

他の医療機関との違いを出すために、心療内科以外に内科などの他科を標榜する開業医も増加しています。

女性医師の場合は、婦人科の開業が大変有利です。不妊治療や更年期外来などを中心に診療し、産科の分野である分娩を取り扱わない医院やクリニックが増加しています。

非常にデリケートなケースを扱うため、インターネットを大いに活用し、受診しやすいと感じるような設備や雰囲気のアピールが重要でしょう。

一方、開業しにくいと言われる診療科は外科系です。安定した患者数が見込めないことや、施設導入の資金が高いことが挙げられます。

 

「開業医」の方が高収入。ではなぜ開業しない医師がいるのか?

開業した場合には、確かに平均収入は高くなるというデータがあります。

しかし、開業医として一般的な診療科目は、風邪やインフルエンザ等の患者さんが来院する内科医ではないでしょうか。

そこで、必ずしもすべての医師が自分の専門分野で開業できるわけではないという事実があります。

一番開業に踏み切らない診療科は「外科」であると考えられます。

外科はオペをして「外科医」としての腕を振るいますので、内科医として開業するためには、別途内科医としての診療経験が必要になります。

外科医が内科医として開業しようと思うタイミングとしては、オペから引退する年齢になった頃に考える医師が多いのではないでしょうか。

また、救急救命医等、急性期病院の第一線で命を救うことに使命感を感じている医師は開業をせず、勤務医を続けるでしょう。

命の危険のある患者さんが救急で開業医に来院することはまずないからです。

それと同じ理由で、難病や命の危険のある重要な疾患は症状が落ち着いてくれば開業医に紹介しますが、基本的には入院を終えた後でもしばらくは急性期病院の外来で見ることになるのでそのような患者を診る機会は減ります。

つまりまとめると、勤務医としての使命感ややりがいを感じている人は収入に左右されず勤務医を続けますし、経営や医療機関との付き合い、コメディカルのマネジメントが苦手という医師もまた、勤務医の方が向いていると言えます。

 

勤務医より開業医の方がキャリアアップに繋がるのか?

医師免許には現在の法律上、年齢制限はありませんので「生涯現役」の職業になります。

しかしながら、日頃の忙しさからキャリアプランを考える暇があまりないのも現状なのではないでしょうか。

しかし、ご自身の納得するキャリアプランを持つことは、生涯現役でいられる医師であるからこそ大切と言えます。

例えば、外科医でオペをすることを生きがいとしているような医師の場合、自身がメスを置くと考える年齢をあらかじめ決めておいてその年齢に合わせて長期的に開業準備することも良いでしょうし、救急救命医として第一線で活躍していきたいと考えられる方は、例えば、年齢が上がってきた後に、救命センター長になるなどしてその領域のスペシャリストになるというのも良いと考えられます。

開業する医師の平均年齢が41歳と言われています。

開業する年齢が若すぎると、勤務医の間に培われるスキルが身につかないまま開業してしまい、その結果開業したものの経営状態が悪くなり、資金繰りに苦労してしまうということも考えられます。

適切なタイミングで自分の専門に合わせたキャリアプランを考えることが大切です。

開業する場合には、経営手腕も問われます。「医師として」以外の部分で考えることも増えてきますので、その点では「開業はキャリアアップ」と言えるかもしれませんね。

 

勤務医がキャリアアップを目指すには

一般に、医院経営の軌道が乗った開業医の年収は勤務医よりも高いです。

しかし、開業をしたくても資金面など様々な事情で開業できない医師は多くいます。

では開業せずに勤務医として、今後キャリアップしていくにはどうすればよいのでしょうか。

研修終了後の進路としては、大学で臨床の経験を積み、研究を行いながら講師や教授への道を進む勤務医や、医局に属して関連施設などで研鑽を積み、海外留学の経験をする勤務医、近年では医局に属さない働き方を選ぶ勤務医もいます。

今回は医師の働き方の大きな流れを医学部卒業後10年・20年・30年の大きく3つに分けて説明していきたいと思います。

 

医学部卒後10年

専門医などの資格を得るために指定された医療機関への転職も視野に入れておきましょう。

また、別の医療機関でアルバイトを行い、年収アップや人脈を広げるなど精力的に働く勤務医もいます。

 

医学部卒後20年

勤務医として一番脂が乗った時期と言えます。しかし、大学内での派閥の問題、民間病院でのポジション、意に沿わない転勤など、仕事の充実度と平行して悩みが増える時期とも言えます。

将来のビジョンを再構築し、転職を考える勤務医も数多くいます。

 

医学部卒後30年

積み上げてきた経験を生かし、定年に向けて自分に合った働き方を選ぶ勤務医が増えています。

QOLを重視し、余裕のある働きやすい職場への転職も可能な時期です。

また、高齢化社会に貢献するべく、在宅医療など地域連携に向けて動き出す勤務医もいます。

 

これらから、医学部卒後20年あたりが開業に適切なタイミングかもしれません。

卒後10年では臨床経験数が足りなすぎる、卒後30年では定年が近いということと、体力的な問題があるなど、年齢に伴う障害が徐々に表れてきます(※高齢が開業の障害となるわけではありません)。

医学部卒後20年までの間に、クリニックで様々な症例に対応できるように多くの症例を経験し、資金を蓄えることが必要でしょう。

また、医療スキルのみでなく、医院・クリニックを経営していく上で必要なスキルを身に着けることも必要でしょう。

経営上のスキルがなければうまく集患することが出来ずに、経営破綻してしまうかもしれません。

また、医院を開業する場合、院長として看護師や医師を雇用することになるでしょう。

そういった雇用主としてのコミュニケーション・連携の取り方を非常に重要な要素になると言えるでしょう。

実際に医院・クリニックを開業する場合、これらのポイントをきちんと抑えた上で開業を行うと良いでしょう。

 

クリニックを開業するために準備すべきこと

実際にクリニックを開業するには、早い時期からの準備をおすすめします。

遅くとも開業の半年前からスタートし、まずは開業にあたっての明確なコンセプトを打ち出しましょう。クリニックの名称や運営も、コンセプトを基準に考えていきます。

開業する場所の下見や立地の調査は必須です。開業医として成功するには、医院・クリニックの立地にかかっていると言っても過言ではありません。

平行して、事業の計画や資金の調達について考えをまとめていきます。

内装の工事、医療機器の選定や発注、薬剤の取り扱いなども順を追って進めます。

保健所などの公的機関への届け出、新規口座開設などの各種手続きは開業の2ヶ月前に済ませましょう。

働いてもらうスタッフにも声を掛け、必要であれば求人広告を出し、面接や契約、研修を行うのも開業医の仕事です。

宣伝活動の一端として、地域の人々へ内覧会を実施する開業医もいます。近年ではインターネットで検索するケースが多いため、見やすいHPの作成も必要です。

実際の開業医の体験談も参考になるので、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

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