
医師の働き方が多様化するなかで、医療機関側も 柔軟な勤務形態や勤務内容を許容するケースが増えています 。
株式会社エムステージの運営する医師転職サービス「Dr.転職なび」でも、実際に【週4日勤務】や【当直なし】の勤務が可能な求人なども数多くご紹介しています。
週の勤務日数を減らすことができれば、プライベートの時間をもっと充実させる、アルバイトの回数を増やして収入を上げる、ということも叶えられるかもしれませんよね。
このようにメリットが多そうな週3日や週4日勤務の常勤求人ですが、 「週5日勤務しなくても、常勤になれるの?」「非常勤として勤務する場合と、どう違うの?」 など、気になるところはありませんか?今回は、社会保険労務士試験にも合格しており、労働法規に詳しい弊社社員に話を聞きました!

編集部:木島さん、今日はよろしくおねがいします!
そもそもなんですが、「常勤」とはどんな働き方をする医師のことをいうのでしょうか?求人票では「32時間以上勤務から相談可」など、【32時間】という言葉をよく見かけるのですが、なにか関係はありますか…?
木島:そうですね。「【32時間】以上勤務する医師=常勤医師」と誤解をされているケースがあるのですが、 「常勤医師=〇時間以上勤務する」などの法で定められた規定はないんです 。「常勤医師」「非常勤医師」の規定は、その医療機関によってそれぞれ定められているんですよ。
編集部:え!そうなんですね!?てっきり、法律で統一のルールが決められているんだと思っていました。では、例の【32時間】というのは、どんな基準なんですか?
目次
◆「常勤医師の32時間ルール」とは?
木島:「常勤医師の32時間ルール」 のことですね。
これは、2014年に厚生労働省が出した「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱」という通達をもとにした方針のことをいいます。この通達では、常勤医師の定義について以下のような記載があります。
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3.常勤医師の定義と長期休暇者等の取扱い
(1) 常勤医師とは、原則として病院で定めた医師の勤務時間の全てを勤務する者をいう。
ア 病院で定めた医師の勤務時間は、就業規則などで確認すること。
イ 通常の休暇、出張、外勤などがあっても、全てを勤務する医師に該当するのは当然である。
(2) 病院で定めた医師の1週間の勤務時間が、32時間未満の場合は、32時間以上勤務している医師を常勤医師とし、その他は非常勤医師として常勤換算する。
※厚生労働省医政局(平成26年4月),77p「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱」より引用
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この通達でいう【32時間以上勤務している医師】という基準は、都道府県が実施する立ち入り検査の際に、 各病院で配置すべき医師の人数をカウントするために使われている ものです。
つまりこの【32時間以上】という基準は、 常勤医師と非常勤医師の線引きを行うためのものではない 、ということなのです。
◆「常勤/非常勤」の定義は、各医療機関が決めている
木島:例えば、【週35時間以上勤務する医師が常勤医師】と定めている病院では、
・週32時間働く医師 = 非常勤医師
・週35時間働く医師 = 常勤医師
という区別となります。
このように、 常勤医師と非常勤医師の線引きとなる規定は、医療機関それぞれが定めているんですね。
編集部:なるほど~!だから、週3日や週4日など、少ない日数でも常勤としての勤務が可能という求人があるんですね。
木島:そうなんです。実際に、交通アクセスが悪く医師が慢性的に不足している、出産や育児による離職を防ぎたい、などの事情から、 さまざまな働き方を許容しないと医師の確保が難しい医療機関の場合には、勤務日数や勤務時間についての相談ができる場合があります 。
ただし、求人票にそこまでの条件を明記しないというケースも多いです。
ですので、ご事情があって「週3日や週4日しか勤務ができない」という先生は、まずはお気軽に私たちにご相談ください!経験豊富なキャリアアドバイザーが、個別に確認・交渉します。
2/週3~4日勤務の「常勤」として働くメリット/デメリット
編集部:ちょっと思ったんですが、もし勤務回数を優先させて働き方を検討するのであれば、「非常勤医師として、週3~週4日勤務する」という選択肢もありますよね。ここであえて、週3~4日勤務の「常勤」という働き方を選ぶメリットは、どんなことが考えられますか?
◆常勤として働く【メリット】
木島:そうですね。常勤として勤務するメリットとしてまず挙げられるのは、 退職金やボーナスの支給などの待遇面が常勤と非常勤では異なるということ です。
すべての医療機関ではないですが、「退職金の支給対象は常勤医師のみ」としていて非常勤医師は退職金が出ない、というケースが多いです。
また、 社会保険加入などの福利厚生が充実している 点も常勤で勤務するメリットですね。
ただし福利厚生の内容・適用の対象も、医療機関ごとに定められていますので、事前に確認が必要です。
ちなみに、 非常勤医師が社会保険に加入するためには、「常勤医師の労働時間の4分の3以上の勤務」をしなくてはいけません。
この条件に満たない場合には、ご自身で国民健康保険や国民年金保険に加入することになります。
逆に、非常勤医師でも「常勤医師の労働時間の4分の3以上勤務」していれば、社会保険の適用が認められる、という場合もあるんですよ。
ただし、基本的には医療機関ごとに相談が必要になりますので、もし気になる求人がありましたらお気軽にお問い合わせくださいね。
最後に挙げられるメリットとしては、 雇用の安定性が高い ということでしょうか。
常勤医師の雇用契約は、期間の定めのない契約となっていることが多いため、特段の理由がない限りは、医療機関側から雇用を打ち切られる可能性は低くなっています。
一方、非常勤勤務の場合には、常勤医師の採用状況や患者数などの医療機関側の事情によって勤務が終了となるケースもあります。
編集部:ふむふむ。 長く安定的に働くための安心材料がより多いのは、常勤としての働き方 ということでしょうか!逆に、常勤として働くことによるデメリットもあれば教えてほしいです。
◆常勤として働く【デメリット】
木島:これも勤務先によるところも大きいかと思いますが、あえて言うなら、 身体的・精神的な拘束時間が長い 傾向があるということでしょうか。
ご自身の都合に合わせて自由に勤務スケジュールを組むことができる非常勤勤務とは違って、希望する曜日で休みが取ることが難しかったり、勤務終了後もオンコール対応が発生したりすることが多いのが、常勤医師です。
どうしても、オンとオフの境目があいまいな働き方になってしまうこともあるかもしれませんね。
編集部:なるほど。常勤と非常勤、それぞれの特徴と、ご自身の生活スタイルやキャリプランがマッチするのか、しっかりと考慮する必要がありますね。
木島:そうですね!求人票だけでは読み解けないことも多くありますし、求人票通りにいかないのが医師の転職です。
Dr.転職なびのキャリアアドバイザーは、全員「医療経営士」の資格を取得しているので、 経営的な視点からのリサーチや転職のアドバイス も可能です。
また、わたしのように 労働法規に詳しい 社員もいます。はじめて転職を検討される先生でも安心して検討を進めて頂けるよう、しっかりとサポートいたしますので、ぜひご相談ください。
編集部:そうですよね!まだ本当に転職するか分からない先生や、検討の段階という方でも大歓迎です。ご依頼をお待ちしています!
木島さん、今回はありがとうございました!また今後も色々とご相談させてください。