
厚生労働省が実施した、医師約10万人へのアンケート調査(※)によると、常勤の男性医師の27.7%、女性医師の17.3%が週に60時間を越える勤務をしていることがわかりました。
本記事では、忙しい医師の現状と休暇が不足することの危険性、そして休日が足りない医師への提案などを紹介しましょう。
出典:厚生労働省 「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」
目次
「忙しい」医師の一日のスケジュール
いわゆる「過労死ライン」を超えて働く医師もいる
同調査によると、常勤医師の1ヶ月の時間外労働は、ハードな時であれば、いわゆる「過労死ライン」の80時間を超えているという事実も判明しています。
休日を満足に取れず、忙しく勤務している医師の実態が浮き彫りになり、早急な改善と対応が必要であることは言うまでもありません。
まずは、一般的な勤務医の1日の例を見てみましょう(ただし、勤務体制は診療科によって大きく異なります)。
- 8:00頃 出勤 入院患者がいる場合は回診 カンファレンス
- 9:00 開院 外来患者の診察と治療 手術がある科は行う
- 13:00 午前の診察終了 昼休み
- 14:00 午後の診療再開 手術
- 17:00 病棟の回診 当直スタート
- 18:00 閉院 器具の整理や事務処理 当番でない場合は帰宅
- 翌8:00 当直終了 通常勤務
研修医はさらに忙しく、7時前に出勤し帰宅は22時過ぎ、休日も引継ぎや書類作成などで出勤という生活をしているケースもあります。
自宅でレポート作成なども行う必要があるため、日々忙しく過ごしている事がわかります。
また、当番制で必ず医師が行わなければならない当直の回数は診療科によっても異なります。
皮膚科や眼科のように入院患者がいないために当直が全く無い診療科もあれば、産婦人科や救急の現場などは月に10回以上当直をしなければならないという場合もあります。
医師の休日は月に2~3日!?
休日に至っては、月に2~3日の休日があれば良い方という医師もいれば、ゴールデンウイークや年末年始などの長期休みでも当直やオンコールなどがあるため、満足に休日を取れないという医師もいます。
中には夏休みの5日間以外はすべて勤務という医師もおり、医師の休日不足は非常に深刻な問題であると言えるでしょう。
それでは次に、ある大学病院の医師のある1週間のスケジュールを見てみましょう。
この他にも、各種学会や研究会、勉強会、取引先の企業との打ち合わせや接待、出張などの予定も入ります。
- 月曜日 AM 外来
- PM 外来 医局の会議
- 火曜日 AM 研究や実験
- PM 検査やレポートのまとめ
- 水曜日 AM 外来
- PM 専門の外来やカンファレンス
- 木曜日 AM 研究や実験 講義用スライドの作成
- PM 後輩医師の指導 教授回診 医局内打ち合わせ
- 金曜日 AM 講義
- PM 各種打ち合わせ
- 土曜日 AM 休み
- PM 関連病院で当直(月6回ほど) 研修医の指導
人手不足によって忙しい医師…休日の過ごし方は?
深刻化する「医師の人手不足」が忙しさの理由のひとつ
医師が忙しい理由のひとつに、深刻化している医師不足が挙げられます。
当直明けは休日にすることが理想ではありますが、全体的に医師が不足しているため、当直後に満足な睡眠を取らずにそのまま通常勤務に戻る医師もいるようです。
このような激務が原因で体調を崩し、退職してしまう医師もいます。
そして、結果的に他の医師へしわ寄せとして業務量が増えてしまうという悪循環に陥る医療機関もあるようです。
もうひとつは、わが国の高齢化による患者数の増加です。
高齢者からの信頼が厚い病院では、外来の患者数が多いため診療時間が長引き、結果として勤務時間も長くなってしまっていることもあるようです。
休みが不足すると、医療ミスにつながる危険性
少し前のデータではありますが、独立行政法人 労働政策研究・研修機構が行った調査(※)によると、6割を超える医師に疲労感があることがわかりました(複数回答)。
そして、半数近くの医師が健康の不安を感じており、4割以上が睡眠不足を訴えていることも判明しています。
さらに、労働災害や事故につながる恐れのあった出来事「ヒヤリ・ハット体験」については、7割近くの医師が「時々ある」と答えています。
また、疲れを感じている医師ほど、ヒヤリ・ハットの体験が「時々ある」という回答が多い結果が出ています。
※出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」
医療ミスを忙しさのせいには出来ない
とはいえ、人の生命・健康を預かる医師にとって、医療ミス等の事態は避けなければなりません。
「休みが足りない」「睡眠不足」等の理由から、身心に疲労を感じている医師の方は、大きな事故を避けるためにも、働き方を見直してみてはいかがでしょうか。
また、健康のために治療を行っている医師自身が体を壊してしまっては元も子もありません。
「今の働き方は自分に合っているか」「現状よりQOLの向上することができないか」など、自身が置いている状況を改めて考えてみて、自身のワークライフバランスがしっかりと保たれているか考えてみることをおすすめします。
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収入やキャリアアップを目的とした転職も増えていますが、ワークライフバランスを向上させることは、医師として長く働くためにも大切です。
一度、求人情報などに目を通してみて、現在の勤務状況と比較してみてはいかがでしょうか。具体的にイメージが湧いてくると思います。
人材紹介会社の転職エージェントでは、休日が足りないと悩む医師の皆さんに様々な提案を行っています。
転職に興味のある方は一度相談してみましょう。
